藤原丈一郎という男に落ちるまで

「ジャニーズは顔落ちしかない」というのが私の持論であった。この考え方を完全にやめたかと言われればそうではないが、この価値観を覆すような存在に落ちたということが、この文章を書くきっかけになったのである。

ジャニーズにハマるきっかけ

私は人生の半分以上をいわゆるジャニオタとして過ごしてきた。ジャニーズという存在に興味を初めて持ったのは、スクラップティーチャーの山田涼介くんだった。きれいで、かっこよくて、料理ができて、いたいけな小学生女子の心を掴むには十分すぎる美男子であった(現在は美青年に成長しているし、今でも主演のドラマがあれば視聴するくらいには好きである)。しかし女児の心は移ろいやすく、また日曜昼のレギュラー番組が変わったことにより、自分の視界に彼が入る頻度が減ったせいで彼のファンからフェードアウトするに至った。このときはCDを1枚買う程度の応援しかしていなかったため、人生のジャニオタ期間には含めていない。

人生の担当の話

私が人生の担当に出会ったのは、2009年の冬である。父親が見ていた必殺仕事人2009を一緒になって見ていたら、脳に電流が走ったのだ。そのときのことは、今でもはっきりと覚えている。「この世にこんなにかっこいい人がいるの？」そう小学4年生の私は感じた。からくり屋の源太に、私は恋をしたのだ。そこから、大倉忠義という存在を知り、関ジャニ∞というグループがあることを知り、テレビでの活躍を追いかけるようになり…とジャニーズという深い沼の奥底まで潜ることになったのだ。なぜここで人生の担当の話をしたかというと、今回沼に落ちた対象と深く関わってくるからである。余談だが、このドラマで担当が死ぬシーンを見たため、いまだに死ネタは苦手である。

小学4年生からエイターとして生きてきた私は、大学生になった今でもエイターであり続けている。関ジャニ∞のいろんな瞬間も、自担のいろいろな瞬間も追いかけてきた。だけどまさか、自担が後輩グループのプロデュースをすることになるとは予想できなかったし、考えもしなかった。そもそも私はデビュー組担当だし、同い年よりも年下よりも圧倒的に年上が好きだという嗜好のせいもあって、ジャニーズJr.というものに対して無知であった。年下にも子供にも興味がなかったのである。しかし、自担がプロデュースするとなれば話は別である。どんな子たちなのか気になるのは、ごく自然なことだろう。

 なにわ男子初見

なにわ男子の初見は、おそらく元号変更前のHEY!HEY!HEY!だと思う。もっと以前から名前だけは知っていたような気もするが、記録していないし記憶にも残っていないため、とりあえずその時点だとしておく。この回は大倉くんと横山くんが出るから、それ目当てで録画したのだ。そのときの私はこう思った。大西流星くんがめちゃくちゃかわいい、と。大橋和也くんは絵本に出てくる外国の王子様みたい、と(補足:これはシンデレラ等の金髪碧眼な王子様やブロンド髪の王子様ではなく、ジンジャーヘアに緑の目の野山を駆け回ってそうな王子のイメージ)。お気づきの方もおられるだろうが、この段階では今回落ちた男に何の感情も抱いていないのである。強いて言えばなにわ感担当ね、1グループに一人はいるよねそういう人、という印象しかなかった。つまり名前すら覚えていないのだ。この後もしばらく彼の名前は覚えていなかった。パフォーマンスもダイヤモンドスマイルはいい曲だなと思いながら大西くんと大橋くんしか追いかけていなかった。完全にノーマークだったのである。

完堕ちするまでの話

そんな完全にアウトオブ眼中であった藤原丈一郎という男に落ちることになったきっかけは、ありがちすぎる話だが2020年のなにわの日に遡る。関ジャニ∞が配信に出演するという事実があるだけで私が配信を購入するには充分すぎる理由であるため、迷うことなく私は配信を購入した。メンカラメドレーはもちろん楽しみだったし、関西が集まって何かするというだけで関西のグループを応援している人間としてはテンションが上がっていた。ドリアイグリーンには大橋くんもいるし。ドリアイブラックのcHocoレートとかすごく見たいし。このときもまだ、藤原丈一郎くんに対してはなにわ感担当という認識しかない。なんなら顔もあやふやである。なにわの日以前にフォロワーからあけおめコンの映像も見せてもらったが、かずりゅちぇ(この時点ではかずりゅちぇというコンビ名すら認識していない)に加えて長尾くんかわいい顔してるな～と思いつつ見ていた記憶しかない。あけおめコン視聴段階においても、藤原丈一郎という名前はおろか顔すら覚えておらず、なにわ感担当です！のフレーズしか頭に残っていなかった。

そんな私は配信を見て、驚いたのだ。ドリアイブルーのDye D?のパフォーマンスに。安田くんがなにわの日のドリアイブルーのためだけに書き下ろした歌詞にも驚いたが、それ以上にセンターで「I wanna dye you」とささやきニヤッと笑う彼に惹きつけられてしまったのだ。その後歌ったのがドリアイグリーンだったのでその日はすぐに頭を切り替えたが、翌日のアーカイブを見て再度衝撃を受けた。「なにわ感担当なんて嘘じゃん！」と叫ぶはめになったのである。それからはしばらく悶々とし続けていたのだが、ある日を境に藤原丈一郎のことが頭から離れなくなり、インターネットを使って彼のことを調べ、動画を閲覧し、気づいたらなにわの日の約1か月後である8月31日に私はこの男に完堕ちしていたのである。Chu Chu Chu!とかやばくない？多幸感を映像化したらこうなるってやつでしょ。

 藤原丈一郎くんを認識したあとの世界で

はじめに書いたように、私は顔落ちしか体験したことがなかった。若手俳優である元推しも推していたときは顔面が美しすぎると思っていたし、山田涼介くんしかり大倉忠義くんしかり顔から入っているのである。藤原丈一郎くんの顔は大好きではあるが、私の好みであるとは言えないのである。私は顔の好みが一貫しているため、ファーストインプレッションで顔が好みでないと推す気にはなれないのである。そんな私が人生で初めて、パフォ落ちを経験したのである。キレのあるダンスやカメラ位置の把握、ワイプ芸、抜かれたときのキメ顔。そんなことを意識的に見たのは人生で初めてであった(基本顔しか見ていないから)。強調しておくが、藤原丈一郎くんのことはかっこいいと思っているし、顔も整っていると思う。単純に私の好みの顔ではないから落ちる予定がなかったというだけの話である。

正直、人生で推してきた人間が全員二枚目よりの人々だったため、これは何かの錯覚ではないか、ギャップに弱い私の性質が彼を短期的にキラキラ見せているだけなのではないかと何度も自分に問うた。漫才をしているところも見たし、不憫な扱いをされている場面も見た(これは不憫な男が少なからず好きな私には無駄な抵抗である)が、彼のことは変わらずキラキラして見えているし、大倉忠義さん以外の事象にはとんでもなく飽き性な私が3か月経っても変わらず好きでいるどころか好きだという気持ちが日に日に増していくのである。久しぶりにこんなに夢中になれる存在を見つけてしまった。これからも自分が疲れない程度に、藤原丈一郎くんという私にとっていろんな意味で特別な存在を追いかけようと思う。私にJr.の供給や魅力を伝えてくれたJr.担のフォロワーに感謝カンゲキ雨嵐です。

おわりに

配信のPlastic Tears(夜公演)を見た後衝撃がすごくて布団の上から1時間ほど起き上がることができず、しばらくうまく呼吸ができなくなった。さらに、4日間ほど米などの主食がのどを通らなくなったおかげで2キロ痩せた。前日ONI-CHANで妹の顔を大型犬を撫でるようにして撫でていた男の所業とは思えないうえに、セクシー担当であることは多少理解していたつもりだったがあそこまで直接的なものを浴びせられて身体が耐え切れなかった(これらはすべて歓喜に基づく反応である)。